開催にあたり
洲之内徹の生誕100周年を記念して、「気まぐれ美術館の絵描きたち」展を開催します。
——
ここらあたりは
草山ばかり
風に吹かれて
飲むばかり
…私はこの詩の「草山ばかり」「飲むばかり」の、ばかりに痺れるのである。ここにあるのは草山と風と飲むということだけ。この、だけの世界が、私は好きなのだ。絵も、絵だけであってほしいと私は思う。
帰りたい風景 -気まぐれ美術館- 中野坂上こおろぎ
——
洲之内徹が絵に求めたものがここにあります。ゆかりの絵描きを通して見てみたいと思います。
館主
洲之内徹(1913-1987)
小説家、美術評論家、画廊主(現代画廊)
小説家としての洲之内は芥川賞の候補に何度かノミネートされたが、受賞には至らなかった。しかし、その筆力は美術エッセイ『気まぐれ美術館』で開花し、文芸評論家の小林秀雄をして「いま一番の批評家は洲之内徹」と言わしめたほどであった。
『気まぐれ美術館』は『芸術新潮』に13年もの長きにわたり連載され、多くのファンを獲得し、今だにファンを魅了し続けている。(※『気まぐれ美術館シリーズ』全6冊は新潮社から刊行されている)
現代画廊では独自の審美眼に基づき多くの展覧会を開催したが、気に入った絵を売りたがらないことでも知られ、根っからの絵好きだった。洲之内の優れた絵画コレクションは、没後、宮城県美術館に寄贈された。